「ずら」と「ら」 は主に疑問文で使う語尾ですが、「け」も疑問文で使います。江戸言葉に もありますが、「け」は「かい」の音便形と考えて良いでしょう。親しい 間柄で、「いくかい?」とか「食うかい?」と聞くような場合に
「行くけ」 「食うけ」
のように使用します。ただし、疑問文ですが語尾は上げなくても疑問 の意味になります。標準語での「〜かい?」の語尾の上げ下げと同じだと 思えば大体あっています。ただ標準語の日常会話で「〜かい?」を使う局 面は減っているので「け」を使う前にはシミュレーションした方が良いで しょう。
注意が必要なのは、すべての「かい?」の置き換えにはならない点です。 「どうですか?」を甲州弁で言おうとして
× どうけ?
と言ってしまうと間違いです。これは標準語で「どうかい?」が 文法的にあっているもののしっくり来ないのと同じ問題です。
標準語の疑問文の最後に付ける「〜〜だい?」も音便化して 「で」になります。標準語で「どうですか?」をくだけて言う場合 「どうかい?」とは言わず、普通は「どうだい?」といいます。 甲州弁では
どうで?
になります。どう、どこ、どれ、誰、何、どっち、に継る 疑問文は、「で」で受けます。
「どこにありますか?」 ↓ 「どこにあるんだい」 ↓ 「どこにあるで」 (甲州弁)
となります。